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無責任な恋をしてはいけない
金曜日 14 10月 2011 @ 3:38 pm

 かれこれもう10年も前の話しになるのだろうか。
 俺はある女に恋をした。
 初めは恋でも何でもなかった。ただの“火遊び”のつもりだった。俺には妻と、二人の子供がいて、割合に不自由のない生活を送っていた。ただ一つ、セックスを除いては。
 そのために、俺はこれまでにも何人もの女と関係を持ってきた。今回も当然ながら、そのつもりでいたのだが、彼女にいわゆるパトロン的な男がいることを告げられた時に、俺は何故か“この女をものにしてやろう”と、強く思ったのだった。
 俺は所帯持ちで、彼女はバツイチ二人の子持ちで、おまけにパトロン付だから深い関係になったって、まるっきりいい事なんかない訳だ。普通に考えれば・・・・・・。
 しかし、俺は彼女に狂ったように接近し、とうとう彼女の身体も心もモノにしたと言う訳だ。ちなみに彼女はこれまでの人生で、セックスでいったことがないと言っていた。それが、俺とのセックスで完全に女としての喜びに目覚めてしまったと言う訳だ。
 しかし、このエネルギーは相当なもので、結果的に当時の俺は7Kgのダイエット?をしたことになっていた。
 彼女のためなら、結構何でもした。決して金銭的なことではなく、精神的な部分でのことだった。
 俺との関係が深まると、彼女自身、俺と離れていることが肉体的にも精神的にも辛くなったようで、いついかなる時にでも俺と一緒にいたかったようだ。
 そんな彼女の要求に、俺は精一杯応えるようにしていた。
 そんな関係が続いていたあるクリスマスイブの日の事だった。俺たちは恋人たちがするようにデートをした。そして、彼女にプレゼントを渡したのだが、彼女は晴れない顔をしている。俺は「どした、何か心配ごとでもあるのか」と訊いた。
 彼女は「ええ、心配事は腐るほどあるわ。今は生きているだけで辛いの。私から、貴方が離れていくような気がしてならない」と、ちょっと大きい目の中に涙をいっぱいに溜めて言うのだった。
 そう、彼女は俺と家庭を持ちたがっていたのだ。
 家庭を持てば、俺が離れていくことは確率的には激減する。しかし、俺にはすでに家庭があるからそれは適わぬ夢という訳だと言うことを、彼女は良く理解していた。
 だから、辛くなるのだった。
 俺には答えを言う資格等はなく、黙って彼女のてを握ってやることしかできなかった。
 その夜、俺たちは激しく抱きあった。彼女はピルを常用していたので妊娠の心配はいつもしていなかった。
 行為が終わり、いつものように裸で抱き合って眠り、朝を迎え、また激しく抱きあった。
 それから二カ月後、彼女から妊娠を告げられた。あのクリスマスイブの時に、何とピルを飲み忘れたと言う訳だった。
 それが本当かどうかは、今となっては判らない。しかし、産んでもらっては困ることになると言う訳だった。そのことは、彼女自身にとっても同じことであり、妊娠を告げたときにはすでに堕胎をするつもりだと言っていた。
 俺は、彼女の意志に甘える事にした、というよりはその意思を聞いたときにはホッとしたものだった。
 それ以来、何かと気まずくなり、彼女とは別れる事になってしまい、今でも申し訳なく思っている。
 勝手に恋をして、勝手に別れることになる。そんな、無責任な恋をしてはいけないと強く強く感じさせられた出来事だった。

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